日本農業気象学会

会長挨拶

会 長 挨 拶    日本農業気象学会長 平野 高司

1942年10月に創設された本学会は2017年に75周年を迎え,2018年3月に九州大学で盛大な祝賀行事が行われたことは記憶に新しいと思います。75周年を終え,重要な節目である創立100周年に向けた最後の四半世紀に入りました。ITを中心とした急速な技術革新や変動の大きな国際情勢の下で,20年以上先を見通すことは全く困難ですが,気候が大きく変わりつつあるなか,本学会に関わる研究の重要性が低下することはないと期待しております。しかし,現在,会員の高齢化や会員数の減少といった深刻な問題が顕在化してきています。10年後あるいは15年後の本会の姿を想定し,組織と運営体制の持続可能性を検討するとともに,必要に応じた改革を進めたいと思います。以下,本会の現状をご報告するとともに,会員の皆さんへのお願いも記させていただきます。

まずは次世代活性化理事の活躍です。北野前会長の下で,3名の若手会員が次世代活性化理事に任命され,本会の活動および運営に主体的,積極的に関わることになりました。具体的には,若手研究者の育成および若手会員の交流を主目的としたサマースクールの実施と,75周年記念事業である英文書籍「Adaptation to Climate Change in Agriculture」の出版です。サマースクールは昨年度に始まり,本年度も実施されました。昨年度については「生物と気象」19巻1号で報告されています。英文書籍は14章からなり,この10月にSpringer社から出版されます(https://www.springer.com/in/book/9789811392344)。次世代活性化理事には,今期も引き続き活躍を期待しております。次に,英文誌(Journal of Agricultural Meteorology)についてです。ご存知のように,英文誌は2013年にSCI(Science Citation Index Expanded)に登録され,2016年に初めて2015年版のインパクトファクター(IF)が付与されました(0.467)。最新(2018年版)のIFは1.095であり,過去4年間で着実に上昇しています。また,2018年版から「5年IF」も付与されました(1.008)。Clarivate AnalyticsのJournal Citation Reportsによると,IF1.095の本誌は「Agriculture, Multidisciplinary」に分類されている雑誌(56種類)の25番目に位置しています。また本誌は,J-STAGEを通じたオープンアクセス・ジャーナルであり,論文の被引用にも有利です。掲載料も比較的安価なので,論文の投稿先として本誌を有効に活用していただければと思います。もちろん,優れた論文も多く掲載されていますので,正しく評価していただき,適切に引用していただくよう,お願いいたします。皆さんのご協力により,本誌の評価が高まることを強く期待しております。

今年度から支部の体制が変わりました。4県で構成されていた北陸支部が廃止になり,福井県が近畿支部へ,石川県と富山県が東海支部へ,それぞれ編入されることになりました。また,新潟県は旧関東支部に編入され,支部の名称が関東甲信越支部に変わりました。この再編の原因は北陸支部の会員数の減少によるものです。再編が行われた各支部におきましては,事務の負担等あるかと思いますが,新体制での活動,運営をよろしくお願いいたします。学会の財政につきましては,単年度で収支がほぼ閉じており,何とか健全な状態にあるといえます。これは,全国大会への経費負担が実質ゼロになっていることが大きな要因だと思われます。すなわち,担当となった支部の努力により,全国大会が独立採算で運営され,大会運営費の分担金が返却されてきた結果です。しかし,北野前会長の記事(生物と気象,18巻1号)にあるように,会員の高齢化が進んでおり,会員数の減少にともなう会費収入の減少,さらには財政の悪化が危惧されます。

本会は民主的で,真面目に運営されている学会であると強く感じています。例えば,年4回開催される理事会の出席率は高く,全国大会時を除いて,毎回4~5時間の議論を行っています。このような本会の雰囲気は,引き継ぐべき,すばらしい伝統であると考えます。しかし,運営を支える多くの業務は理事や支部の役員のボランタリーな活動によるものです。若手研究者を中心とした新規会員の積極的な獲得が不可欠であることはもちろんですが,社会的な状況を考えると会員数のある程度の減少は避けられないようにも思います。人材と予算が減少した条件で,本会の運営,組織をどうするのか?非常に難しい課題ではありますが,近い将来に生じる可能性のある,そのような状況を見越して,本会の持続的な体制を考える必要があります。次世代の担い手である40代以下の会員の意見を積極的に聞き,持続可能な組織と運営体制について検討していきたいと思います。皆さまのご理解,ご協力,よろしくお願いいたします。

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