会長挨拶

日本農業気象学会長 富士原和宏

会長就任の挨拶

 

日本農業気象学会長 富士原和宏

 

2023年3月の総会での承認を経まして、2023年-2024年期の会長に就任いたしました。本学会では現在、「学会運営業務の効率化および組織・運営体制のスリム化」のためのいくつかの主要な作業を完了し、おぼろげながらもゴールが見え始めている一方で、学会の新たな魅力の創造と学会活性化のための新たな活動を策定すべき時期に差し掛かっております。このようなタイミングでの会長就任には、大きな責任と不安を感じざるを得ませんが、会員の皆様のご理解、ご支援、ご協力を賜りながら、これまでの効率化・スリム化のための作業に加えて、学会の魅力を高めるための仕組み作りも進めて参りたいと存じます。

さて、会長挨拶とは若干趣を異にしますが、理事会がこの数年間に取り組んできたおよび今後の数年間に取り組むべき中心的作業につきまして会員の皆様にご理解いただくべく、「学会運営業務の効率化および組織・運営体制のスリム化」作業の「現在地」をご説明申し上げたく存じます。この効率化・スリム化作業は、想定される会員数減少下でも学会の活性を損なうことなく必要な活動を持続させることを目的としまして、平野前会長のリーターシップのもと推進されて参りました。具体的には、平野前会長の会長就任挨拶(生物と気象 21巻 p.47)に示されております通り、「学会運営業務の効率化および組織・運営体制のスリム化を主な目標として <中略> 1) 学会誌の出版形態,2) 評議員会のあり方,3) 理事会のあり方,4) 支部の活動・運営,5) 学会財産の活用,6) 全国大会の開催方針,7) 学会財政の健全化,8) 研究部会の活性化,9) 永年功労会員表彰委員会のあり方を主要課題とし」ております。

1)「学会誌の出版形態」につきましては、とくに英文誌「Journal of Agricultural Meteorology」のプレゼンスの向上と、和文誌「生物と気象」の魅力向上と活性化を主要な目的として、集中的な議論と作業が編集委員会を中心に進められております。その作業の一つとして申請中であった2023年度研究成果公開促進費(国際情報発信強化)が採択された旨の連絡が、本挨拶原稿作成中に編集委員長より届きました。これにより、「Journal of Agricultural Meteorology」の質的強化、更なる国際発信力の強化、および持続的な出版のための取組が、一層強力に推進されることになります。

2)「評議員会のあり方」につきましては、2022年3月の総会で評議員制の廃止が議決されております。

3)「理事会のあり方」につきましては、検討ワーキングの報告書に基づく理事会での議論の結果、理事数、役職数、役職担当者数のいずれも削減が困難であるとの判断から現状維持で決着しております。

4)「支部の活動・運営」は、現在「支部活性化」と通称されております。2022年第3回理事会にて、「支部活動の活性化に関する提案(案)」が報告されておりますことから、この項目につきましては、2023年中の取りまとめを見込んでおります。この提案(案)の報告内容は多岐にわたり、また支部ごとの事情によっても対応を変えざるを得ない事項も含まれておりましたことから、最終提案書を検討ワーキングがまとめる前に、各支部長および支部幹事を交えた広範な議論が必要であると理事会は判断いたしました。そこで、2023年第1回理事会に各支部の支部長および支部幹事にご参加いただき、その提案(案)に対します忌憚のないご意見を頂戴し、密度の濃い活発な意見交換を行ったところであります。

5)「学会財産の活用」に関する議論はまだ本格的には開始されておりません。会員数の減少が今後緩やかになるとしましても、現時点ではできるだけ学会財産からの積極的支出は避けるべきというご意見が多いものと予想しております。しかしながら、とくに学会および和文誌の魅力向上を図るような結果的に将来の会員数増に繋がる可能性が考えられる活動については、支出額と効果の見込みのバランスを慎重に見極めながらも、これまでよりは積極的に学会財産を活用する方向性を打ち出すべき時期かと考えております。

6)「全国大会の開催方針」につきましては、各支部の活動を支える会員数の減少により、従来の方式での大会運営が困難になり始めているとの意見が少なくないことから、大会運営のマニュアル作成および理事による大会運営業務補助が始まります。また、支部会員数が最も多い関東甲信越支部では、他の支部の倍のペース(4年に1度)で大会の開催を担当することが決まっております。

7)「学会財政の健全化」につきましては、画期的な案というものはおそらく存在せず、短期的には削減可能な経費の抽出・削減、長期的には将来の会員数増に繋がる可能性のある活動企画の立案およびその活動の実施を進めて行くという対応になります。削減可能な経費の抽出・削減のための予算・決算項目の精査やこれまで会計上不整備であった点の整備など、健全化に向けまして、会計担当理事が中心となり精力的に取り組んでおります。2023年3月の総会では、終身会費制度の廃止が議決され、それに伴う会則の改正が承認されております。また、同総会で外部資金会計規程の制定が報告されております。

8)「研究部会の活性化」につきましては、2023年中の取りまとめを見込んでおります。2023年から研究部会が1つのみとなりましたことから、当初の想定とは異なる方向での簡潔な取りまとめになるものと予想しております。

9)「永年功労会員表彰委員会のあり方」につきましては、2022年3月の総会で、永年功労会員表彰委員会の廃止が議決されております。

以上、長くなりましたが、「学会運営業務の効率化および組織・運営体制のスリム化」作業の「現在地」をご説明申し上げました。上記の項目あるいは関連する事項につきまして、「これこそは」というご提案等がございます場合には、是非とも理事、副会長、あるいは会長までご連絡いただきたくお願い申し上げます。また、上記の項目と関連ないご要望・ご意見等につきましても、同様にお寄せください。賛助会員の皆様からのご要望等も、是非お聞かせいただければと存じます。

 

2023年3月31日

Page
Top